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文科相、新国立デザイン選考の検証を表明 値段とデザインを別々にし、コスト確認せず決定か?

新国立デザイン選考「ずさん」 文科相、検証を表明

 下村博文文部科学相は10日の記者会見で、新国立競技場のデザイン選考について「(当初の総工費の)1300億円がどの程度、デザインをする人たちに伝わっていたのか。値段とデザインを別々にしていたとしたら、ずさんだと思う」と述べ、検証する考えを表明した。

 またデザインの採用を決めた審査委員会で委員長を務めた建築家の安藤忠雄氏について「デザインを選ぶ責任者だった。堂々と自信を持って、なぜ(イラク出身の建築家)ザハ・ハディド氏の案を選んだのか発言してもらいたい」と話した。

 安藤氏はの7日の有識者会議を欠席した。

■国立競技場 コスト確認せず決定か

改築費が2520億円に膨らんだ国立競技場について、デザインを決める最初の審査の過程で、技術的に建設が可能かどうかチェックされたものの、設定したコストに収まるのかどうかの確認は、事実上行われずに決まった可能性が高いことが関係者への取材で分かりました。

新国立競技場のデザインは2020年東京オリンピックパラリンピックの招致活動が行われていた3年前の7月、競技場を運営するJSC=日本スポーツ振興センターが、「総工事費は1300億円程度を見込む」と設定して募集し、応募した人たちもこの金額に収まることを示していたということです。

このあと、建築家の安藤忠雄さんを委員長とする審査委員会が3回開かれ、46の応募作品からイラク人女性建築家のデザインに決まりました。

この過程では、1回目の審査委員会のあとに委員会のメンバーとは別の専門家たちによる「技術調査」が行われました。この際に、それぞれのデザインで技術的に建設が可能かどうかのチェックはされましたが、設定したコストに収まるかどうか確認していなかったことが、関係者への取材や当時の資料から新たに分かりました。

さらに、委員会の議事録や当時の審査委員への取材によりますと、その後の審査では一部の委員からコストを懸念する声があったものの、複数の審査委員が「技術調査」でコストの確認も同時に行われていたと思ったということで、最後は、オリンピック招致のためのインパクトを優先して今回のデザインが選ばれたと見られています。1300億円と設定されたコストの確認が事実上されないまま、デザインが決まった可能性が高く、その後金額が二転三転した要因になったとみられます。

新国立競技場
新国立競技場(しんこくりつきょうぎじょう)は、国立霞ヶ丘陸上競技場の全面建て直し工事によって建設される予定の競技場。東京都の新宿区と渋谷区にまたがる。2019年ラグビーワールドカップおよび、2020年東京オリンピック・東京パラリンピックのメイン会場となる予定である。

2011年に改めて立候補した2020年夏季オリンピックの開催誘致へ向けて、『既存施設の活用』をテーマに、メイン会場を国立競技場に決めることを計画。しかし、施設の老朽化や、新たな国際大会開催誘致へ向けた大規模なスタンド、競技場規格への改修が求められたため、文部科学省日本スポーツ振興センター(JSC)が協議を重ね2012年度予算に国立競技場の改修調査費として1億円を計上した。

そして翌2012年2月、国立競技場の全面建て替え工事の基本構想が発表され、8万人収容、開閉式ドーム屋根を設置し「世界一のものを作りたい」(河野一郎・JSC理事長)と決意を表明した。

新デザインの募集と決定
同7月13日、国立競技場将来構想有識者会議が国際コンペの実施を決定し、「新国立競技場基本構想国際デザインコンクール」と題したコンペティション(建築設計競技)が開催された。

周辺に明治神宮野球場東京体育館秩父宮ラグビー場といったスポーツ施設が乱立する明治神宮外苑の狭いスペースに8万人収容スペックのキャパシティーを無理なくかつ立体的におさめることや、スポーツだけでなくコンサートや災害時の緊急広域避難所、また地球環境に配慮した設計を兼ね備えること、また2019年ラグビーワールドカップ日本大会の開催とスケジュールに見合った応募条件で、世界各地の建築家からデザイン作品を募った(審査員長は安藤忠雄)。

応募総数は46件。その中から書類選考により11件に絞り、同11月に最終審査を行い、イギリスのザハ・ハディドの作品をグランプリ(最優秀)として採用した。流線形のデザインで、開閉式屋根を支える2本の巨大な「キールアーチ」や、「スカイブリッジ」などの特徴を持つ。


2013年9月7日(日本時間翌9月8日)、第125次IOC総会にて、2020年夏季オリンピックの開催地が東京に決定された。そのため新国立競技場2020年東京オリンピックのメイン会場として使用されることが決まった。さらに、日本が招致を検討している2023 FIFA女子ワールドカップのメイン会場として使用される可能性も同年11月、浮上した。

同年11月に開かれた第4回会議での資料「新国立競技場基本設計条件(案)」には、陸上トラックが8レーンしかなく国際大会の開催に支障が生じている状態とも書かれていた。

異議ある中、着工へ
2014年夏季に現施設の撤去・取り壊し工事を開始し、2015年秋季頃に建て替え着工、2019年竣工を目指すことになった。

なお本競技場の建設に伴い、近隣の日本青年館・JSC本部の建物が併せて建て替えられるほか(両施設を取り壊した上で、両者を一体化したビルを建設する予定)、都営霞ヶ丘アパートが取り壊される予定ともなった。日本青年館等の新ビルについては、現在原宿にある岸記念体育会館を移転させる案も浮上している。

2015年5月18日、文部科学大臣下村博文は、工期・費用の問題から計画の見直しを発表。
これによると
(1) 開閉式屋根はオリンピック後に設置する。
(2) 可動式観客席(15,000席)を仮設スタンドとし、オリンピック終了後には取り外す。などとしていた。

同7月7日、第6回国立競技場将来構想有識者会議にて、予定通りの10月着工への施設内容や整備スケジュールなどが承認された。施設運営は今後、PFI法の公共施設等運営権の活用を検討するという